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2014/02/25特別寄稿 ハーグ条約の批准と国際家事調停の重要性

離婚・国際離婚

小原弁護士の論文が「The Lawyers 2011年8月」に掲載されました。

特別寄稿
ハーグ条約の批准と国際家事調停の重要性
                      小原法律特許事務所
                      小  原   望
一.ハーグ条約の批准
 ハーグ条約(「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」に関し最近日本の政府は批准することを決定し、現在それに関連する国内法の整備に向けた準備がなされている(法律骨子案は公表)。
 ハーグ条約は1980年に採択され1983年に発効した国際条約であるが、現時点では日本は加盟しておらず、日本人妻が子を連れて実家に帰ることが多いので日本は「拉致天国」であると批難されている。同条約の目的は「国境を越えて子供を不法に連れ去る、あるいは留め置くことの悪影響から子供を守る」ために、連れ去られた子供にとって誰が親権者または監護者となるのが適切かという判断はすることなく、「常居所」がある国に子供を速やかに戻し、そこでの管轄裁判所で親権等に関する決定をすればよいとする立場で、「原状回復」のみを目的としている。
 従って、この条約を批准すると、例えば日本女性が米国男性と結婚しシカゴに居住していたところ、夫との折り合いが悪くなり、子供を連れて日本の実家に帰って来たような場合に、このような返還要求がなされると、この子供が16歳未満で、連れ戻しから1年を経過していなければ、直ちにシカゴへ子供を返さないといけなくなる。例外的に返すことを拒否できる理由は条約上限られているが、現在国内法整備との関係で拒否事由をどのようなものにするか検討されている。しかし、かかる返還要求があれば、裁判所は6週間以内に決定を出さなければならないので、その審理は大変である。更に返還拒否事由がなく返還すべしとの決定がでた場合の執行の方法も問題である。

二.執行の困難性
諸外国の例では「直接強制」—最終的には執行官と警察が子を連れ戻した親(多くの場合母親)のところへ行き強制的に子供をとりあげて返還する—を取っている国は多いが、「間接強制」—返還しなければペナルティーとして一定額の支払を命じる等の圧力をかけて自発的に返還させる一という方法もある。
泣き叫ぶ母親から強制的に子供を取りあげるというのは見るに耐えない面もあるが、返還命令が出ているのにいつまでも実行しないというのも条約の目的を達することができないので望ましくない。
わが国では、離婚をして一方の親が親権者となった場合に、他の親が子に面会を求めても色んな口実で会わせないという親も多くいる。別居中でまだ共同親権を有する親に対しても、そのような態度をとる場合もある。これに対し、米国の社会では離婚をした後、主たる監護権を有しない親と子が会うことは比較的自由にできるし、子の誕生日には別れた夫婦が出席することもあり、夫婦は別れると他人に戻るが、親子関係は変わらないとの認識を多くの人が共有しているように思われる。これは米国ではずっと以前から日本より離婚率が高く、経験を積んでいるという面もあろうが、子供は実の親と親しく接しながら成長することが子供の人格形成にとって望ましい、ということを充分に自覚しているからだと思う。この点に関しては離婚する日本の親もよく考えていただきたい。

 

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